2つのアロエの見た目の違い
アロエベラ
キダチアロエ
キダチアロエは「木立アロエ」と書くように、まるで木の幹から枝が伸びているかのように茎から葉が広がっていることから、そう呼ばれるようになりました。
葉の幅は大きいもので5cm、厚さは1〜2cm程です。
これに対し、アロエベラは葉が折り重なるように地面近くに葉が出ているので、横から見ると逆円錐状に広がっているように見えます。
葉の幅は根元で10cm、厚さは3cm程になります。
意外に思われるかもしれませんが、アロエは花を咲かせます。
キダチは11月頃赤い花を、ベラは5月頃に黄色い花を咲かせます。
キダチの根は太く、地中に向かって伸びていきます。ベラの根は逆に地面近くを這うように細い根が伸びていきます。
ちなみにキダチは葉の根元を切って挿し木にするとしっかり根づいて生長することができますが、アロエベラは葉の根元から切って植えても根は出ず、腐って枯れてしまいます。
キダチは日本と中国の一部にしか生育しておりません。
逆に言えば、ゼリー質が多いベラには冬の気温が低すぎて凍ってしまうので、中国を渡って日本に伝来するまでに、アロエはキダチのような葉の薄く比較的水分の少ないものに変化していったと考えられています。
キダチアロエとアロエベラの違い
キダチアロエとアロエベラ。どちらも同じような成分を含んでいます。
その中で大きな違いは、皮に含まれるアロインの量、ゲルに含まれるムコ多糖体の分子量とその粘りです。
そのためキダチアロエとアロエベラの使い方は大きく違います。キダチアロエは、皮をむかずに丸ごと使われる場合がほとんどですが、アロエベラは皮をむいて使われる場合が多いです。
アロエベラの場合、主にアロエの皮に含まれる「アロイン」を取り除くために皮をむきます。
キダチアロエはアロエベラに比べてアロインの量が多く、ベラの1.5倍もの量が含まれています。
このアロインは非常に苦く、アロエベラよりキダチアロエのほうが苦いといわれるのは、このアロインの含有量の違いからきているのです。
奇妙なことに、このアロインはキダチに含まれる場合は、食品、化粧品に使用されてもいいが、アロエベラの場合は、食品、化粧品に含まれていてはいけないのです。これは薬事法にて定められています。
キダチアロエの「アロイン」はメリットも多いけど、、
キダチアロエを使用する場合、メインの成分はアロインになります。
アロインは、皮の果肉に接する側の管の中にあり、強烈な苦みをもつ黄色い汁(時間経過すると褐色化する)に含まれています。
このアロインは医薬指定成分で、大腸を刺激して緩下させるアントラキノン系の下剤として認定されています。
ただ、アロインは医薬成分だけあって有効性も高いのですが、非常に刺激のある物資で、他の薬と同様に、胃酸を多く分泌させます。
キダチアロエを摂る場合は、胃酸を多く分泌させるので、空腹時は避けたほうがよいでしょう。
ですから、胃酸過多の方や逆流性食道炎の方はもちろん、胃腸が弱い方や荒れやすい方、炎症のある方にはアロインを含むキダチアロエ、またはその製品はお勧めしかねます。
また、アロインは子宮を収縮させる作用があるので、妊娠中の方は控えたほうがよいです。
このようにキダチアロエは有効性は高いのですが、刺激が強く、使い方や使用する量に注意が必要です。
アロエベラは刺激が少なく、カラダによりやさしい
アロエベラはキダチアロエとは異なり、すべて皮を除いたゲル(ゼリー部)のみ使用します。
ですから、アロインはほぼ取り除かれており、刺激が非常に少なくカラダにやさしいアロエといえます。
アロエベラのゲルは、アロインとは逆に胃酸を若干抑える働きがあるといわれているので、摂る際は食前食後よりも空腹時がお勧めです。
アロエベラのゲルは、キダチアロエのゲルと比較して約10倍の分子量(キダチが約5万、アロエベラは約45万)があり、高分子多糖体と呼ばれる栄養素を豊富に含んでおります。
ちなみに、同じように高分子多糖体を含む食品は、アガリクス茸やサメ軟骨などがよく知られております。
その中でもアロエベラの多糖体は非常に注目されており、国内外の多くの研究機関をはじめ、大学や製薬会社で様々な研究結果が発表されております。
近年話題になった「糖鎖(細胞の表面にある生命情報分子で約10種類単糖で構成されている)」を構成する単糖の多くもアロエベラの多糖体は含んでおります。
また、非常に注目されている「腸内フローラ(腸内細菌)」にもアロエベラのゲルは大きく影響を与えるということが分かっています。
腸は、栄養素の吸収する役割だけでなく、その環境によって免疫や脳の働きは左右されるといわれております。
アロエベラゲルの多糖体は、腸内で善玉菌のエサになり、腸内フローラを整える働きがあるといわれております。