アロエベラとは?
アロエベラはアロエの一種でカリブ海に浮かぶバルバドス島を原産地とするユリ科の多年生多肉植物で、ねぎやにんにく等とは親戚関係にあります。
アロエはよくサボテンの仲間と誤解を受けますが、サボテンはサボテン科の多肉植物でつながりはありません。
アロエは交配が激しく、世界にアロエは300を超える種類があるといわれています。
その数百種類のアロエの中で薬効があるといわれるのは、ほんの「わずか」しかありません。
もちろんアロエベラは、キダチアロエとともにその「わずか」に名を連ねます。
アロエベラの正式学名は「アロエ バルバデンシス ミラー」といいます。
これはスコットランドの園芸家フィリップミラー氏が「バルバドス島」に自生する「アロエ」を名付けたことからこう呼ばれているようです。
現在では通称「アロエベラ リンネ」という名前で一般的に使われています。
ベラとはラテン語で「真実」という意味で、植物学者のリンネが、数百種類あるアロエベラの中で「アロエベラこそ真実のアロエ」と発表したことに由来されます。
ちなみにアメリカの一部の地方ではアロエベラを「True Aloe」と呼びます。
アロエベラは、アメリカの南西部では台所の窓辺よく置かれ、救急箱代わりにたびたび活用されているようです。
アロエベラの歴史
古代エジプトのミイラと共に残されていたパピルスという書物には、アロエベラが紀元前2000年も昔から人々の美容と健康を支える植物として愛用されてきたと記述されています。
クレオパトラはアロエベラの液汁を体中に塗りつけ、その伝説となった美貌を保ち続け、またアレキサンダー大王は兵士の体調維持にアロエベラを携帯させたことは有名なエピソードとして近世に伝えられています。
今も生薬として知られているアロエですが、1908年から研究が始まりました。
当時はアロエの持つ下剤成分の研究が主な目的でしたが、研究が進むとアロエの成分の様々な働きが明らかになってきました。
現在もアロエベラの成分が世界中約2万もの研究者により国際的な研究所などで研究され、国際アロエ科学評議会(IASC)にて様々な研究成果が報告されております。
これまで、著名な研究機関や企業が、実に様々な研究成果を発表していますが、アロエベラはその成分があまりに多すぎるとされ、まだ存在するアロエベラの全容を解明するため、研究者達は現在も研究に取り組んでいます。
日本には鎌倉時代に中国からアロエ(キダチアロエ)が伝わり、長い間、庶民の健康維持のために用いられてきました。
アロエベラが日本で注目を浴び出したのは、ビキニ島沖での核実験の影響を受けた第五福竜丸の船員達が放射能に犯されたため、アメリカ軍がビキニ環礁の現地の人々に用いたようにアロエベラを日本に持ち込んだときからです。
また、1999年9月に起こった「東海村臨界事故」においてもアメリカ テキサス州が東海村住民のためにアロエベラを寄贈したという知られざる事実もありました。
アロエベラの成分
アロエベラには200種類を超える成分があるといわれています。
アロエベラは、過酷な栽培環境から自らの身を守るために、これだけの豊富な成分を獲得したといわれております。
アロエベラの原産地であるバルバドス島は中南米に位置し、この地域は強烈な紫外線が照りつける熱帯・亜熱帯にあたります。
強い紫外線による酸化を防いだり、暑さによって熱されたアロエベラ自身を冷ましたり、炎症を抑えたりする成分が、アロエベラが生き抜いていくために必要だったと考えられています。
アロエベラが健康に役立つといわれているのは、その含まれている成分にあり、驚くほどの栄養バランスにすぐれていることにあります。
下記の成分はアロエベラに含まれている成分です。
一般にアロエベラ生葉(果肉・皮)に含まれているとされる成分です。ぜひご参考ください。
酵素類
- アリナーゼ
- アミラーゼ
- カタラーゼ
- リバーゼ
- オクトシドーゼ
- アルドナターゼ
- グリコシドブドウ糖
- ラモノーゼ
ビタミン
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンB3
- ビタミンB6
- ビタミンB12
- ビタミンA
- ビタミンC
- ビタミンE
- 葉酸
- ビタミンM
ミネラル
- マンガン
- クロム
- 銅
- 亜鉛
- 鉄
- マグネシウム
- リン
- ゲルマニウム
- カリウム
- ナトリウム
- 塩素
多糖体、その他
- グルコース
- キシロース
- ガラクトース
- セルローズ
- 生理活性物質
- 植物ホルモン
- サポニン
- アロイン
- アロエエモジン
- アロエウルシン
- アロミチン
- アロエマンナン
- アロクチン
- アルボランAB
- アロエチン
- アロエシン
- アロエソンエモジン
- ホモナタロエン
- ベータババロエン
- オーグリコシド
- ウロン酸
- ムコ多糖類液合体
- ルミセン
- リモネン
- コニフェリルアルコール
- グルコサミン酸
- クリサミン酸
- クリソファン酸
アミノ酸
- リジン
- メチオニン
- アエニルアラニン
- ロイシン
- バリン
- イロソイシン
- スレオニン
- トリプトファン
- アスパラギン酸
- グルタミン酸
- アラニン
- プロニン
- ヒスジン
- セリン
- グルシン
- アルギニン
- チロシン
- シスチン
アロエベラの主要な成分
アロエベラには、アミノ酸、ミネラル、酵素など、ひとつひとつの成分は非常に微量ですが、生存していくためのさまざまな豊富な種類の栄養成分が含まれています。
これがアロエベラが非常にバランスのとれた食品といわれる所以です。
これらの栄養成分をムコ多糖体が中心となり、外から中から効率よく身体に働きかけます。
これをペンシルバニア大学のデイビス教授はアロエベラのシンフォニー・オーケストラ効果と名付けました。
アロエベラの代表的な成分を以下ご紹介いたします。
アロイン
降雨量が少ない乾燥地帯でも育つアロエベラ。
水分を求める動物たちから身を守るためにアロエベラは強烈な苦みをもちます。
このアロエ特有の苦さは主に「アロイン」という成分からきています。
アロインは、主にアロエベラの外皮とゲル(ゼリー部)との境界にある上下に伸びる管に内在しています。
アロインは、体内で酸化されてアロエエモジンという成分に変化し、緩下、瀉下作用をもつことから、アロインとアロエエモジンはアントラキノン系の下剤として医薬成分の扱いとされています。
また、非常に有効な成分ですが、大量に摂取すると子宮収縮作用や骨盤内臓器の充血など副作用とみられる症状を起こすことがありますので、特に女性は気をつけた方がよいでしょう。
そして、一般的な医薬成分と同様に胃酸の分泌を促すので、胃が荒れやすい方や潰瘍などをお持ちの方もお気をつけください。
アロインはアロエベラのゲルの中にも含まれていますが、食品分析にかけても分析限界値を超えてしまうくらい微量なので、ゲルを濃縮しないかぎり実際には検出されません。
ですから、アロエベラゲルだけや市販のアロエベラジュースを摂られる方は問題ございませんのでご安心くださいませ。
アロエシン
アロエシンという成分は、主にアロエベラゲルにあり、抗菌作用や保湿作用、そしてチロシナーゼ阻害作用があります。
チロシナーゼとはしみやそばかすのもとになる「チロシン」というアミノ酸に作用する酵素です。
その作用の結果、チロシンは黒色メラニンに変化します。
そのチロシナーゼの活性を抑える作用をアロエシンがもっています。
アロミチン
日本のアロエ研究家、添田百枝博士が発見し命名した成分です。
主に抗腫瘍作用、抗菌作用をもちます。
添田博士は動物実験によって、アロミチンが体内の腫瘍因子を不活性化する作用を確認しています。
また、大腸菌類やブドウ球菌、水虫菌などが出す毒を解毒し,
中和する作用があり、細菌は自己防衛機能が働かなくなり、消滅してしまいます。
アロエチン
アロエチンも添田博士が発見した成分で、アロミチンと同様に細菌の毒素を中和し不活性化します。
それによって、高い殺菌作用をもちます。
多糖体
アロエベラは、その大部分をゼリー(ゲル)が占め、このゲルにはさまざまな多糖体が豊富に含まれております。
この多糖体は非常に粘々したものであるため、ラテン語の粘液という意味を持つ「ムコス」からムコ多糖体とよばれています。
ムコ多糖体は細胞と細胞を結びつけたり、関節部や軟骨を形成している成分と同様の性質をもっています。
アロエベラの多糖体は糖鎖食品としても注目されています。
糖鎖は細胞のアンテナのようなもので、細胞の間でコミュニケーションをとったり、細胞外の情報を細胞内に伝える役割があります。
糖鎖に異常があると細胞に問題があった場合、身体がうまく対処できなく、のちに大きな問題を抱えてしまう場合があります。
ですから、糖鎖を含む食品を多く摂ることが求められます。
糖鎖は8種類の単糖で構成されておりますが、この8種のうち、マンソース、グルコースなど5つの単糖をアロエベラは含んでいます。
アロエベラの多糖体を摂取すると多くは胃で消化されずに腸まで届き、一方では乳酸菌をはじめとした善玉菌と呼ばれる腸内細菌に分解されて吸収されます。また他方では多糖体のまま吸収されて血管を通して身体全体をめぐります。
また、多糖体は水分を豊富に取り込むことができ、化粧品でも重要な保湿成分として使用されることが多いです。
水にも脂にもなじみやすい性質をもつことから、口からでも肌からでも、アロエベラの多糖体は乗り物のように、アロエベラの成分だけでなく、いっしょに乗り込んだ他の栄養素を効率よく体内に運ぶことができます。